エシレバターを使ったケーキその名はミゼラブルってフランス流嫌味なのか
東京に行く用事があったので、そこでしか買えないというエシレバターのケーキの店に行った。エシレ・メゾンデュブール、丸の内にある。店舗自体は関西にもあるが、ケーキはここでしか買えないと知り、物珍しさで行ってみた。行列だった。基本、京都人は並ばない。並ぶんならええわぁ。と根気がないが、東京の人は並ぶのもまたこれ良し、とばかりに普通に並ぶ。ここまで来たなら並ばねば。なにほんの30分ぐらいだろうと見込んだ。
最初は何がこの先にあるのか分からないまま並んでいた。これはレジ待ちなのか入店待ちなのか、どっちにしろ並ばないと買えないのだから、まだ見ぬお菓子のために並んだ。列が店の中に入りショーケースが近づいてきて、前の人たちが買う様子をみて、焼き菓子だけではなく、どうやら生菓子となるケーキがあることがわかった。それがこの写真のエシレバターケーキ。フランスで使われている普通のゴミ袋がパリ土産になる可笑しさ
そもそもエシレバターとはフランスのバターで、パリに行ったときも買って帰ってきた。向こうではいくつかある種類のうちこのバターが格別に値段が高い。どのバターでもバターは美味しいがあちこちでわぁわぁこの名を聞いてたから自分用のお土産に買った。確かに美味しいが、雪印のバターとどう違うか、と言われたらどっちも美味しい。それが日本で買うと雪印が何個も買える値段設定になってしまう。でもこの現象は、輸入されたらそういうもんだ。パリで雪印を買うとなると爆値上がりだろう。まぁ、バターの美味しい国の人がわざわざ東洋のものを取り寄せるとは思えないが。
そしてこのエシレバターを使ったケーキはお値段なんと1ピース1000円。こんな高いケーキ生まれて初めて見たね。写真を撮ってすぐあちこち拡散した。自分の番になったとき、何になさいます?と聞かれ、声高らかにミゼラブルを一つ、とお願いした。二つ買うほど見栄はりでもない。二つ買うほど小心者でもない。二つ買うほど馬鹿じゃない。
レ・ミゼラブルというフランスの歴史小説があるから、きっとそこから取った名前なのでは、と思うこのケーキ。ミゼラブルとは直訳すると、惨め、だ。この小説の内容も決して明るい楽しい話ではない。陰鬱な哀しい気持ちの方が大きい。日本名は、あぁ無情、だ。そんな名前をこの1ピース1000円のケーキにつけるのはなぜなのか。パンが無いならブリオッシュを食べればいいじゃない?とマリーアントワネットが言ったのは、本当に彼女が無知のためなのかは知らないが、このケーキのどこにミゼラブル要素があるのか。フランスではバター、というと、ちょっと下に見るというか、若輩者、未熟者とか、数に入らない存在、ありふれてる、という意味で表現されることがあるから、そういうことなのか。
京都に帰ってから食べた。パイとかスポンジとか小麦粉ベースが少ないので冷蔵庫から出したばかりだとバターの塊のようで、カチカチだからフォークで切り分けづらい。一人前は三分の一ぐらいがちょうどのボリュームだと思う。


