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容疑者エックスの献身の矛盾点を正してハッピーエンドに

東野圭吾さんの作品を読んだことはないけど、Huluで公開されていたので観た。原作があるものは大体、映像化されると読後のイメージと違う、というものだ。しかし読んでないので普通に楽しめた。楽しめたのだが、ちょっと物申す!という点があった。

あいつは殺人などしない、

と福山雅治さんが言っているではないか。天才数学者の石神は、頭脳明晰だから、アリバイ工作をするのは面白い、だが、殺人を犯して松雪泰子母娘の罪を隠すのはスマートではないのだ。一気に凡人になってしまうじゃないか。恋に盲目になった男なのだったら何も天才でも数学者でもなくってよい。なぁんだ、という感が否めない。

数学者が主人公の話としてすぐに思いつくのは小川洋子さんの、博士の愛した数式だ。これは面白い。寺尾聡で映像化されたと思うけど、そっちは見ていない。もう私の中でイメージは作り上げられているので深津絵里とか言われても違うのだ。あの話は数学者の純な感じが心を揺さぶられた。しかし石神は、一気に純な枠から作り上げられた、いち登場人物になってしまった。殺人はやめてほしい。しかも罪のないホームレスを金で動かした、というところも全て魂の抜けた役になっている。【読書感想文】太宰治の猿ヶ島とスピッツのエスカルゴ

最初の元夫がやってきたシーンで、あ、観るのやめようかな、と思った。殺人のシーン、暴力のシーン、けんかや人が傷つけあうシーン、全て嫌いなのだ。息子が一緒にスターウォーズ観ようよ、と言ってきて、ちらっと見たことがあるのだが、序盤からどんどん人が撃たれて、思わず、あの撃ってる人が主人公か、と確認した。そうだ、と言う。じゃぁ撃たれた大勢の人たちは、と聞くと、悪者だという。

あの人らにもお母さんがいるねんで?

と言うと、息子いわく、私はスターウォーズが向いてないらしい。

私の中の石神は、松雪泰子が純粋に好きなのだ。お弁当屋さんでもじもじと、買ってる人。さえない容姿で朴訥な感じ。安アパートの隣にあんな綺麗な女性が引っ越してきたらそりゃぁ人生が変わる。東野圭吾は高いIQの人が恋に盲目になってしまう、ということを描きたかったのかもしれないが、人生に絶望している男にも恋が幸せを連れてくる、という話にしてほしかった。真面目に生きてる人が、普通の幸せをつかむ、というストーリーにしてほしかったのだ。

矛盾点は、元夫が騒ぐシーンだ。

なぜ、通報しなかった??大切に思ってる人が、どう考えても危機に面してる、とわかったのなら。あの手のアパートなら隣近所にあの声、動きは筒抜けのはず。在宅していた石神はなぜ、ぼんやりしてるのか。例え腕力に自信がなくても、自分が殴られに行く覚悟で、特攻していくのが恋じゃないだろうか。頭のいい男だから、前もって110番しておくのが筋だ。そうすれば、殺人は起きなかった。元夫との闘いが続くだろうが、そこで石神の純な気持ちが健気な行動にでて、生きててよかった、というエキサイティングな展開になるのではないだろうか。私は想像する。橋の上から、石神にわざわざ声をかける娘。照れくさそうに手を振り返す様子。母子の笑い声や、朝のたわいない会話を聞いて、あえて窓を開け、幸せを感じる瞬間。難解な数学の問題を嬉々として解く表情。4色問題を人間のやりとりになぞらえて、世界を計算する目。

誰にも迷惑をかけない真面目な人たちが幸せをつかむ、というストーリに勝手にかえた。私の中では誰も殺されてはいない。誰も罪を犯していない。石神のおかげで、松雪泰子母子のおかげで、お互いの危機を乗り越えることが出来た、そういう話になっている。

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