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読書感想文『ホームレス中学生』は母親目線で読むと涙腺が崩壊します

お笑いコンビ、麒麟の田村さんの実話。ほのぼのとしたイラストもいい。これはとても泣ける本。いや、実際に読んでる時はめちゃめちゃ笑うんよ。そりゃ笑いのプロやからね。上手に笑わせてくれる。作り話じゃないよねー?!って。笑かさんといてよーって。でもリアルで、こんな体験をして、それが笑って書けるようになるまでにはずいぶん苦労したろうね、と。母親の気持ちになってしまう。文章の書き方もベテランじゃないし、ひとことひとことが、決して上手じゃない、むしろ幼い書き方で余計に、彼の置かれた境遇が不憫で泣ける。そして何より、彼の

お母さんへの思いが本当に純で泣ける。

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母親にとって息子は永遠に可愛い。生まれた時から王子様であり、無償の愛を捧げ見返りを求めない。それは息子を二人持つ私には、よくよくわかる。そんな息子をおいて、癌で早逝してしまうお母さんの気持ちを思うといたたまれない。しかもまだ、末っ子の田村さんは当時小学五年生。死、ってなぁに?きっとわかってなかったと思う。そんな彼が、中学三年生になってお世話になったおばちゃんの死を体験するシーン。そこで甦ってくるお母さんの死。

あぁ、お母さんには本当にもう会えないんだ。

おばちゃんの死で、お母さんの死を確信する15歳。あぁぁぁ、、もしも我が子が同じ体験をしたら、、そう思うと、もう胸が締め付けられる。お母さんが亡くなっても頑張ってて偉いね、なんて言われても彼ははピンときていなかったのだ、わかってなかったのだ、人が死ぬ、それはもう未来永劫その人とは会えない、ということ。おばちゃんの死で、まわりの人たちが悲しむ様子を見て、少し客観的にお葬式をとらえることが出来た田村くん。そこで初めて、あぁ、俺はお母さんには二度と会えないんだ、何回も刻まれてきた言葉の本当の意味をやっと飲み込めた。

いつかまた会える、そんな気でいた。

そして少しずつ彼は無気力になっていく。自分は何のために生きていくの?一番そばにいて欲しい人、一番はなしを聞いて欲しい人、一番喜ばせたい人にはもうどんなに頑張ってもどんなにひっくり返っても会えない。これは高校にあがったばかりの若い彼にとって死の宣告ほどの衝撃を与える。もう死んでしまった方がいい、生きていくのぞみがないなら、誰かにこの命をあげれたら、、と考えていく。そんな時気づいてくれた人がいた。高校の担任、工藤先生。

先生は田村くんの様子を見て話を聞いてくれる。決して上から目線じゃない先生に、ふと、この人には本心を打ち明けていいんじゃないか、とやぶれかぶれの気持ちを吐き出す。お兄ちゃんお姉ちゃんにも友達にも誰にも言わなかった弱音を思い切り吐き出してみる。先生は驚いていたが、手紙を書いて明日渡したい、と言ってくれる。翌日の先生の手紙は、こう。

田村くんのはなしをきいてまず正直に驚いた、ということ。そして自分も同じくらいくよくよしてる面があるということ。大人であるぐらいだから15歳なら尚更だ、ということ。でも逆の立場から見ると田村くんのこういう素敵な面があって、あなたのことを好きで必要としている人がいる、ということ。自分の大好きだったお父さんが亡くなった時は落ち込んだけど、亡くなった父は自分が落ち込んでる姿を喜ばない、と思った、ということ。そして、田村くんもじぶんを頼ってほしい、ということ。

この手紙でハッと気付かされたのが、自分の存在価値を認めてくれている人がいる、ということ。そして、もしもお母さんが今の自分を見ていたらどう思うか、ということ。そんな風に考えたことはなかったので、彼は180度考えを変える。お母さんなら今の自分を喜ばない。お母さんの喜ぶこと。周りの人の役に立つこと。そして自分が楽しいと生きること、これが大事だと彼は気づく。翌朝、先生に開口一番

僕は生きたいです、

と告げる。これほど先生の手紙に正しく反応した返事は無いと思う。彼は重い口を開いて何か導かれるように先生に思いをぶつけた。先生はその思い、勇気を無駄にしないように真摯に一生懸命、返してくれた。田村くんに寄り添ってくれた。15歳にわかる書き方で思いを伝えてくれた。これは生徒と先生ではなく、人間同士のサシのやりとりだったと思う。

その日から立ち直り、前向きに生きていくようになる。文中、彼はずっと、いつかお母さんには会えるもの、という前提で語っている。当然、この本を出版する時にはそれが不可能だ、とわかっているのだけれども、学生時代は、真剣に、今度お母さんに会ったら、、という考えが中心になっていた。それが彼の心の拠り所になっていたんだろうと思う。そして本の最後はお母さんへの語りかけが手紙のような形で終わる。書き出しがまるで遠く離れて暮らす人のように、お元気ですか?で始まる。お母さんのことがどれほど好きで、あんなことこんなこと、どんなに思い出を抱えているか、そして会った日にはたくさん話せるように日々一生懸命生きていきます、ということ。そして最後の締めくくりの一文が、

いつか、僕を見て周りの人が、僕ではなく、お母さんのことをほめてくれるような立派な人間を目指して。

もしも反抗期なんかもあって、親なんかいなくったってーっという時期があったとしても、何年か後、何十年か後、必ず哀しみは来ると思う。後悔の気持ちや自分を責める気持ちがいつか来ると思う。

田村くんはみんなに伝えてくれているのだと思う、母親を失うことがどんなに人生に衝撃を与えるか。お母さんのこと大事にした方がいいよ、後悔するよ、と。いや、お母さんだけじゃない、お父さんも兄弟姉妹も、友達も先生も、近所の人も、みんなに助けてもらい助けてあげた彼が言ってくれていること。

人を大事にしよう、そのことが自分を大事にすることになるよ、ということ。そんな風にこの本を読んで思った。おすすめです。

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