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【読書感想文】角田光代の彼女のこんだて帖を高校の模試で知る

息子が今日、受けてきた模試の国語で、大問が一つ、自信ある、と言って帰ってきた。内容がよく分かった、と言う。模試の国語なんていつも意味のわからない文章が並んでいるが、

今回は内容に共感した、

いい話だったと言う。そして、ぜひ、お母さんも読んでくれ、と私にもすすめる。

『次男の好きなビフカツ』はこちら→牛肉薄切りのビフカツにドビソースで子牛のシュニッツェル

問題文だから、作品の全部ではなく一部。

ブティックの店員が主人公。長年の夢が叶って、自分のお店を持った彼女は、ポツポツと入ってくる客の女性たちに、ザ・主婦、を感じている。子供連れ、買い物袋から見える生活、手にとる洋服を買うかどうかの判断は、たった一つ、洗えるかどうかの一択。そんな生活じみた人たちを、お客様、として商いをする自分。それでも、彼女たちを見ていると自分には縁遠かった幸せを彼女たちが持っている、と感じる。シングルマザーの彼女には、息子を十分手厚く育ててやらなかった、という自責の念があるからだ。

そんな時一本の電話が鳴る。相手は若い女性、唐突に、かぼちゃの料理を教えて欲しい、と言う。聞けば、一人息子のガールフレンド。母親のカボチャ料理が美味しかった、という彼に作ってあげたい一心で、実家に電話をしてきたというわけだった。驚きながらも丁寧に伝え、若い女の子とのやりとりを楽しむ。電話の後も幸せの余韻に浸る。何もしてやれなかった、と思ってた息子がちゃんと母の手料理を覚えていてくれていた。忙しさにかまけて自分の走り去る後ろ姿ばかりを見せてしまっていた、、と感じていた息子が親子の時間を感じてくれていた。今は一緒に住んでいない息子が、母のことをしっかりと認めてくれていたんだ、という安心感。

模試の大問にピッタリの短さ。

さらに小問では、ガールフレンド側から見た描写が入る。彼女にとって、自分の実家では洒落た料理は無縁だった。ブティック経営の女性はイキイキと、活発でお洒落に映る。自分の母親の食卓は茶色ばかりで、何だか垢抜けていなかった、と振り返る。。。。。

我が子の教材から何冊本を買ったかしれない私。今回も、買い?かな、と調べると著者、角田光代さん、とわかる。

だからあなたも生き抜いて、の人?違う違う、あれは大平光代さん。角田光代さん、初めて読む人だ。

講談社http://kodanshabunko.com/

買いました。送料込みで310円。古本とは思えない綺麗な本が届く。

どれどれ、全文はどんな感じか、、

あーー、数珠つなぎ。

1話の登場人物が2話の主人公に、2話の脇役が3話の主人公、、、とつながっていく。

そうなんだね。誰かにとって良い人はほかの誰かにとって悪い人。視点が変われば見方も変わるよね。いい面もあれば、悪い面もあるよ。表面だけでは気づかないこと。その人の内情、置かれてる立場、こっちの人に見せる面、向こうの人に見せる面。

一章だけ読んで出来上がった主人公のイメージが、次の章を読むとまた少し変わってくる。あーそういうことあるよね。人って。

こんだて帖、だから、お料理が毎回出てくるわけだけど、

家族に美味しいもん作ってやろう!

という気分になるんです。

読直後は。

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